【2024/12/26時点】年金が減らない範囲で働く場合、給与はいくらにする?

問題の所在

以下の事例:

・当社(工務店)の社会保険は、当社では健康保険は土建組合、年金は厚生年金保険。

・社長の実父も、当社の従業員で、月給35万円で、上の社会保険に加入中。

・この度65歳になり、年金を受給することにした。

実父は最近のケガで現場作業は控え現場監督的な仕事に変わっていることもあり、この際、年金が減らない範囲の給与に改定したい。それはいくらか?

 

結論

 

以下の通り;

・1カ月あたりの老齢厚生年金が、仮に、15万円未満 → 従来の月給35万円はそのままでOK。

・1カ月あたりの老齢厚生年金が、仮に、16万円 → 月給を34万円へ 1万円減額する。

・1カ月あたりの老齢厚生年金が、仮に、17万円 → 月給を33万円へ 2万円減額する。

 

理由

以下の通り:

1)前提となる知識

・受け取る年金は、実は、「① 老齢厚生年金=厚生年金保険からの年金」、「② 老齢基礎年金=国民年金からの年金」の2つから成っています。

・2024年度からは、年齢にかかわらず、総報酬月額相当額と基本月額の合計が50万円以下の場合は年金が満額支給になります。

・ここで、「総報酬月額相当額=毎月の会社の給与額面」、「基本月額=1カ月あたりの老齢厚生年金」のこと。

・ここで、「1カ月あたりの老齢厚生年金」は直接にはわからないことが多く、年間の金額を ÷12 して算出する必要がある。

 

2)具体的な計算

現在の給与が35万円なので、総報酬月額相当額=毎月の会社の給与額面=35万円、

基本月額=1カ月あたりの老齢厚生年金、のこと ★もう国民年金=老齢基礎年金は無視

ゆえに、

・1カ月あたりの老齢厚生年金が、仮に、15万円未満 → 従来の月給35万円はそのままでOK。

・1カ月あたりの老齢厚生年金が、仮に、16万円 → 月給を34万円へ 1万円減額する。

・1カ月あたりの老齢厚生年金が、仮に、17万円 → 月給を33万円へ 2万円減額する。

以下の記事が最新と考えられます;

暮らしのEconomy シニアが働くときの年金はどうなる?

https://www.daiwahouse.co.jp/tryie/letter/vol136/economy.html#:~:text=2021%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E5%9C%A8%E8%81%B7,%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

(以下、一部抜粋)

2022年度で大きく変わった在職老齢年金制度

2021年度までの在職老齢年金制度では、60歳以上65歳未満の場合は、総報酬月額相当額基本月額の合計が28万円を超えると、その金額に応じて年金額が減額や支給停止に。65歳以上の場合は、総報酬月額相当額と基本月額の合計が47万円を超えると、超えた額の2分の1の年金額が支給停止となっていました。この在職老齢年金制度により、多くのシニアが働く意欲をそがれているということから、2022年度に大きく制度が変わりました。
2024年度からは、年齢にかかわらず、総報酬月額相当額と基本月額の合計が50万円以下の場合は年金が満額支給となり、50万円を超えた場合に年金額が調整されます。なお支給が調整されるのは厚生年金の部分のみで、基礎年金は調整されません。

■総報酬月額相当額

1カ月あたりの給与(賞与も月額換算して加算)
毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。

■基本月額

1カ月あたりの老齢厚生年金額のこと。
老齢厚生年金額(年額)を12で割った額。加給年金は除く。

では、具体的な例を見てみましょう。

■Aさんの場合

収入

総報酬月額(1カ月あたりの給与+月額換算賞与)27.5万円
老齢厚生年金(月額)10万円
老齢基礎年金(月額)6万円

総報酬月額と老齢厚生年金(基本月額)の合計が37.5万円で支給停止調整額の50万円以下にあたるため、老齢厚生年金は全額支給されます。老齢基礎年金は在職老齢年金の対象外のため、給与等にかかわらず、全額支給となります。

月額収入の合計は、
給与27.5万円 + 老齢厚生年金10万円 + 老齢基礎年金6万円 = 43.5万円

■Bさんの場合

収入

総報酬月額(1カ月あたりの給与+月額換算賞与)50万円
老齢厚生年金(月額)14万円
老齢基礎年金(月額)6万円

総報酬月額と老齢厚生年金(基本月額)の合計が64万円で50万円を超えているため、老齢厚生年金は一部支給停止されます。

【調整額の計算式】
基本月額 -(基本月額 + 総報酬月額相当額 - 50万円)÷ 2
老齢厚生年金の調整額は、
14万円 - (14万円 + 50万円 - 50万円)÷ 2 = 7万円

月額収入合計は、
給与50万円 + 老齢厚生年金 7万円 + 老齢基礎年金6万円=63万円

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補足

ググると最初にヒットするのが以下の記事だが、詳細でわかりやすいが、これは2022年度の制度の内容ゆえ、制度の解説は無視!

 

資産形成・老後資金2023.3.31 働きながら年金を受給する在職老齢年金とは?65歳以上で満額もらう方法を解説

働きながら年金を受給する在職老齢年金とは?65歳以上で満額もらう方法を解説

ただし、応用論点である「業務委託」について触れている:

(以下、一部抜粋)

支給停止にならないためには?年金を満額で受給する方法

在職老齢年金の仕組みによって年金額が減らないようにしたいとき、対策をすれば減額されず年金を満額受け取れる場合があります。

以下では、60歳や65歳を過ぎた後に働きながら年金を満額で受給する方法をいくつか紹介します。

収入と年金を47万円以下に抑える

収入(標準報酬月額)と年金の合計額を47万円以下に抑えれば、年金は減額されず満額を受給できます。毎月の年金額がいくらなのか確認したうえで、47万円から年金額を引いた額以内に標準報酬月額を抑えれば年金は減額されません。

標準報酬月額は原則として4月~6月の給料をもとに決まり、基本給だけでなく残業代も標準報酬月額の計算に含まれます。4月~6月に残業代を抑えて標準報酬月額が低くなるようにして、基本月額と総報酬月額相当額の合計を低く抑えるように工夫しても良いでしょう。

働き方を変えて厚生年金の加入対象から外れる

働きながら年金を受給する在職老齢年金は、60歳以上の人が会社員として給与を受け取るときに適用される制度です。

よって、会社員という働き方をやめて業務委託に変えるなど、在職老齢年金制度の適用対象外にすれば減額されません。また、厚生年金の加入対象でなくなれば、保険料がかからずに済みます。

ただし、会社員ではなく個人事業主として働くと会社の健康保険から外れてしまい、傷病手当金の対象外になる点には注意が必要です。

また60歳や65歳以降も会社員として働き続けて厚生年金保険料を納めれば年金が増えるので、退職後に毎年受け取る年金を増やすために会社員として働く方が良いという考え方もあります。

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