N様用)海外の集団投資信託に係る、外国税額控除の概要は?

問題の所在

以下の事例:

・上場会社

・海外の集団投資信託を保有。

・みずほ信託銀行からの毎月の計算表では、源泉所得税が、①外国源泉所得税、と、②国内源泉所得税、の2本記載されている(=2つ控除されている)

・周知の通り、①については、1)税額控除、と、2)損金処理、の2つが選択でき、2)はエビデンスの収集が大変と認識し、従来より損金処理してきている。

・その後、銘柄も漸増してきているが、今般、社内の担当者が替わり、①の金額も増えてきたので、1)の税額控除を取れないかの相談をされた。

調べると、平成30年に、分配時調整外国税相当額の控除制度が創設された、そう (*_*)

 

結論

以下の通り。

① まず、国税庁の記事(太字は引用者加工)

No.5761 分配時調整外国税相当額控除

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5761.htm

(以下、一部抜粋)

控除の順番

分配時調整外国税相当額控除は、他の法人税法の税額控除よりも先に法人税の額から控除します。

その事業年度で控除しきれなかった場合の取扱い

分配時調整外国税相当額控除をされるべき分配時調整外国税相当額がその事業年度の法人税の額より多い場合には、その控除しきれなかった金額は地方法人税の額から控除されます。

なお、地方法人税の額から控除しきれない金額がある場合であっても、その金額は還付されません。

手続き

分配時調整外国税相当額控除を受けるためには、確定申告書等において控除を受けるべき金額およびその計算に関する明細書(別表6(5の2))の記載および添付が必要です。

注意事項

この分配時調整外国税相当額控除を受けた分配時調整外国税相当額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません(注)。

(注) 分配時調整外国税相当額のうち控除しきれない金額が生じた場合であっても、所有期間対応分の計算を行う前のその全額が損金の額に算入されません。

根拠法令等

法法41の2、69の2、70の2、法令149、地法法12の2、地法令4、措法9の3の2、9の6、9の6の2、9の6の3、9の6の4、所法176、180の2、復興財確法28、33

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② 次に、明細書(別表6(5の2))の記載および添付 

別表六(五の二)

分配時調整外国税相当額の控除に関する明細書 令和6年4月1日以後終了事業年度分

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2024/pdf/06(05-02).pdf

分配時調整外国税相当額の控除に関する明細書 令和6年4月1日以後終了事業年度分 記載の仕方

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2024/pdf/06(05-02)-ki.pdf

別表六(五の二)を使用するに当たっての注意点

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran_r01/beppyo/06-5_2_notice.htm

(以下、一部抜粋)

令和2年1月1日以後に支払を受ける集団投資信託の収益の分配に係る源泉所得税の額から控除された分配時調整外国税相当額については、別表六(五の二)を記載し、確定申告書等に添付することで、法人税法第69条の2《分配時調整外国税相当額の控除》等の規定を適用し、法人税の額等から分配時調整外国税相当額を控除することができます。

【参考】平成30年法人税関係法令の改正の概要(PDF/602KB)
なお、

  • 上場株式等の配当等における調整対象外国税相当額
  • 特定目的会社の利益の配当における特定目的会社分配時調整外国税相当額
  • 投資法人の投資口の配当等における投資法人分配時調整外国税相当額
  • 特定目的信託の受益権の剰余金の配当における特定目的信託分配時調整外国税相当額
  • 特定投資信託の受益権の剰余金の配当における特定投資信託分配時調整外国税相当額

についても同様に控除制度の適用を受けることができます。
分配時調整外国税相当額等は、配当等の支払者又は支払の取扱者が書面により通知することとされており、通知された内容は以下の例のように、別表六(五の二)に移記します(支払通知書の様式はイメージです。支払通知書の記載内容等については、取引のある証券会社等にお問い合わせください。)。

画像|支払通知書の様式はイメージ

※ 控除の対象となる分配時調整外国税相当額等は、原則法(個別法)又は簡便法(銘柄別簡便法)のいずれかにより計算します。

なお、所得税額控除を受ける場合には、確定申告書等において控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細書(別表六(一))の記載及び添付が必要となります。別表六(一)において、分配金額を「収入金額7」又は「収入金額13」に移記し、所得税額を「所得税額8」又は「所得税額14」に移記します。

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理由

特記事項なし

 

補足

以下の記事が参考になる:

https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/files/toushin_tax.pdf

分配時調整外国税相当額控除に関する明細書の控除所得税相当額