K様用)中小閉鎖会社の「経費」のカットオフで、個人名義のクレジットカードで経費計上するときの考え方は?

問題の所在

(いわゆる収益認識基準が適用外の)中小企業の売上計上は、一部の特殊な例外を除いては「継続適用を前提に、請求書日基準でOK」である。

他方、中小企業の経費の計上は、一部の特殊な例外を除いては「いわゆる債務確定主義」にしたがう。この理屈だと、例えば6月決算で、

まず、

◆立替経費のレシートならば、

1)-① 6/30付けの「レシート」を受取った。
★当然にその日付は、6月◯日 ○○円、となっている。

1)-② 7/31付けの「レシート」を受取った。
★当然にその日付は、7月◯日 ◎◎円、となっている。

の場合には、当然、1)-①のみが経費計上になるでOK。

 

そして、

◆会社名義のクレジットカード明細ならば、

2)ー① 6/30付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、5月支払い分 □□円、となっている。

2)ー② 7/31付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、6月支払い分 ◇◇円、となっている。

2)ー③ 8/31付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、7月支払い分 △△円、となっている。

の場合には、会社名義取引だから、実際の取引日が即、債務確定主義の日になるから、上の理屈だと、2)ー①と、2)-②までが経費計上になるでOK。

 

では、

◆個人名義のクレジットカード明細ならば、これも、場合分けになり、

まず、「クレジットカード取引も立替経費精算方式に載せている」ケースであれば、

3)ー① 「6/30付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、5月支払い分 □□円、となっている。」を、立替経費精算にオンして、会社へ翌月決算整理期間中に提出した。

3)ー② 「7/31付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、6月支払い分 ◇◇円、となっている。」を、立替経費精算にオンして、会社へ翌月決算整理期間中に提出した。

3)ー③ 「8/31付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、7月支払い分 △△円、となっている。」を、立替経費精算にオンして、会社へ翌月決算整理期間中に提出した。

場合には、「決算整理期間中に判明した債務は、計上すべき」のため、
・先に、3)-③は、7月分の取引だから不可で、
・3)-①はもちろんOKで、
・3)ー②もOK。

では、「クレジットカード取引も口座連携方式で済ませている」ケースであれば、

4)ー① 「6/30付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、5月支払い分 □□円、となっている。」は、口座連携で5月日付で自動仕訳計上

4)ー② 「7/31付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、6月支払い分 ◇◇円、となっている。」は、口座連携で6月日付で自動仕訳計上

4)ー③ 「8/31付けの仕入明細書を受取り、その内訳が、7月支払い分 △△円、となっている。」は、次期の期首に自動仕訳計上

されるが、これで問題ない?

例えば、この方式では、経費がより計上されることになる(=所得が圧縮される=税額が圧縮される)ので、税務署から指摘されるリスクはどうか?

★仮に問題があるとなると、、、個人名義のクレジットカードは口座連携しては不都合、になってしまうが、、、、

 

結論

上の4)の扱いで問題ない。

 

理由

・「だからさー、個人名義のクレジットカードで支払ったものは第一義的には個人使用じゃないの?」と抗弁される気がするが、、、、(やや都合がいいが)会社としての取引であるのだから、実際の取引日で計上すべき(!)。

・実務上、例えば弥生㈱の口座連携機能で、これを許容している点からも、大丈夫ではないか、と。 (^^)

・上述の税務リスクはあるが、まあ期ズレのものなので、大過はないかと (^^)

 

補足

上の3)と4)を比較すると、「手間は、3)の方がかかるが、経費に計上できる範囲は同じ」に見えるため、「3)より4)の方がベター」と一見思ってしまうが、

細部を比較すると、3)の方がベター。理由は以下:

・取引の証憑の整備という点では、4)よりも3)の方が説得力がある【対税務署】

・本人が立替経費精算というひと手間を掛けるので、ムダ遣いの有無等の取引を見直すいい機会になる【管理面】

・3)であれば、立替経費精算を後の月にすることで経費計上を次期へ繰り越すことが可能(∵会社としては立替経費精算の請求が来たときが確定債務のため。なお継続適用が大前提)