LPS様用)【2024/7/24再確認】「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正(公表)でも、投資の評価方法は従来と同様(=関係会社株式の評価と同様)でいい理由は?
問題の所在
以下のブログに紹介されていた記事で、
https://blog.goo.ne.jp/kaikeinews/e/7e1df57354d2ec3cd284cdabea3cfc1c
↓
「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正(公表)(日本公認会計士協会)日本公認会計士協会(監査・保証業務)
で、一瞬、公正価値評価が強制になるかのように見えるが、いえ、従来と同様(のハズ)と思い直した備忘メモ。
【2024/10/2追記】このあとに公表された、同監査上の取扱いにおいて、監査証明の対象がBS,PL等へと縮小された点も留意!
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20240917ifr.html
結論
具体的には、第24項が以下のように改正された:
24.有責組合会計規則第7条において、「投資は、原則として、時価を付さなければならない」(同条第2項)とし、時価とは、「金融商品にあっては、計算を行う日において、市場参加者間で秩序ある取引が行われるとした場合におけるその取引において、組合が受け取ると見込まれる対価の額又は取引の相手方に交付すると見込まれる対価の額」(同条第3項)と定められている。一方で、「投資に係る資産の評価方法は、組合契約に定めるところによる」(同条第4項)とされている。すなわち、有責組合会計規則は、2023年12月5日公表後においても、投資の評価方法として時価評価以外の方法を例外的に認めている。
ゆえに、投資の評価基準は、従来と同様でok。
★前提で、当事務所のお客様の契約書上、別紙1で、投資の評価には、いわゆる関係会社株式の評価方法が明記されているから、大丈夫。
【2024/7/24追記】なお、今後、契約書を巻き直す場合には、一応、上の理屈を説明する(しかし、手間とコストがかかる時価評価は採用しないであろう)
理由
上のブログ記事の最後に、
そもそも、正規の会計基準と異なるルールで作成されたものを監査できるのかという点も気になりますが、「特別目的の財務報告の枠組み」であり「準拠性の枠組み」でもあるという説明です(9項)。
とある通り。
要は、
・公正価値で評価することを(形式的には)原則に変更して、
・その実、契約書で「いわゆるその他有価証券の評価方法を採用する」旨があれば、契約だから当事者が合意しているから、それを引き続き優先してよい、(それはそれで、安心ではある)
という、基準の策定者にとって自己満足的な変更に過ぎないと解する。
★そもそも従来から特別目的の監査の枠組みしておいて、今さら何をかいわんや、という感じ (^^)
補足
上のブログ記事の一部抜粋:
改正の経緯は...
「6-3.2023年12月5日に「投資事業有限責任組合会計規則(20231102 経局第1号、令和5年12月5日、経済産業省経済産業政策局産業組織課)」(以下「有責組合会計規則」という。)が公表され、平成10年有責組合会計規則が廃止された。新たに公表された有責組合会計規則第7条第2項及び第3項により、有責組合が投資する資産の評価については、公正価値評価とすることが原則とされた。これに伴い、有責組合会計規則との整合性を図るため、本実務指針の一部の改正を行った。なお、この改正により、従来、付録8において記載していた「投資資産時価評価準則にIPEVガイドラインを採用した場合の未公開株式の公正価値の見積りに係る監査上の留意事項」については、第93-2項から第93-18項に記載している。」
正規の会計基準である金融商品会計基準との関係が気になりますが、第7項(改正で一部変更されている)で説明しています。
「7.有責組合法では、有責組合会計規則に定めるとおり未公開株式を含めた投資の評価方法として時価評価が採用されたことに伴い、本実務指針において未実現損益を損益計算書に計上する方法を採用した。しかし、株式に付すべき時価は市場価格のあるもののみとする金融商品会計基準と有責組合会計規則との間で時価概念の相違が生じた。また、金融商品会計基準ではその他有価証券に区分されたものは当該評価差額を貸借対照表の純資産の部に計上するため、有責組合会計規則と金融商品会計基準の双方の財務諸表を作成する場合には、一つの有責組合で異なる当期損益が算定される状況となっている。
さらに、金融商品取引法において有責組合の出資金はみなし有価証券とされており、一定の条件に該当した場合、有価証券届出書や有価証券報告書等の提出義務を負うことから、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「財務諸表等規則」という。)及び「中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「中間財務諸表等規則」という。)に準拠した財務諸表及び中間財務諸表を作成する必要が生じている。この場合の財務諸表及び中間財務諸表は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準で作成されるため、金融商品会計基準が適用されることになる。」(公開草案より)
そもそも、正規の会計基準と異なるルールで作成されたものを監査できるのかという点も気になりますが、「特別目的の財務報告の枠組み」であり「準拠性の枠組み」でもあるという説明です(9項)。
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