S様用)自宅兼アパートのリフォーム工事代を、妻から夫への贈与による資金で支払うのは贈与税が生じる理由は?

問題の所在

以下の事例:

・自宅兼アパートをリフォームする予定。

・土地は夫婦共有名義で、建物は夫の単独の名義。

・妻の方が相続により財産が多いため、工事代を妻から支払いたい。

(贈与税を払うくらいなら、夫の個人財産から支出するつもり)

・以下のリンク先に紹介している、配偶者の贈与税の控除を適用すれば、上の場合でも贈与税は発生しないのではないか?

贈与税の配偶者控除とは?メリット・デメリットや手続きの流れ【税理士監修】

https://www.vortex-net.com/vshare/magazine/inheritance/post-00064/?amp

 

結論

上の事例では、贈与税が生じることになる。

 

理由

以下の記事が参考になる:

増改築における贈与税配偶者控除の適用について【不動産・税金相談室】

増改築における贈与税配偶者控除の適用について【不動産・税金相談室】

(以下、一部抜粋)

そもそも、贈与税における配偶者控除とは、婚姻期間20年以上である夫婦の間で次の贈与があった場合に、基礎控除110万円のほか最高2,000万円が控除される制度です。

(1)居住用の土地や家屋(居住用不動産)を贈与によって取得した場合
(2)居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受けた場合

ポイントは、居住用不動産を「取得」するための贈与が要件となっていることです。

ここでいう取得には、「増築」あるいは「建て直しに近い改築」は含まれるものの、通常の「改築」や「改修」は含まれないものとして取り扱われています。

工事内容については精査する必要がありますが、一般的に想定されるバリアフリー工事は、通常の改築・改修工事と見込まれるでしょうから、配偶者控除の適用対象となる可能性は低いでしょう。

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補足

上の記事の後段では、代替案として、不動産を先に妻へ譲渡(贈与)しておく方法を提案している。

(以下、一部抜粋)

この場合、ご質問者が自己資金により増改築工事を行いその後その居住用不動産を奥様へ贈与されるということであれば、奥様は居住用不動産を贈与により「取得」したこととなりますので、配偶者控除の対象とすることができます。

工事の内容によっては、増改築の資金ではなく居住用不動産を贈与した方が良いケースもあるわけです。

また、増改築にあたっては不動産の「付合」の問題もありますので、その不動産の所有者が誰であるかにより、税務上の取扱いに気を付けなければなりません。

付合に関する取り扱いの詳細は割愛しますが、増改築による「資金の負担者」と「建物の取得者」が一致せず贈与税が生じる場合や、持分の譲渡による所得税が生じてしまう場合もあります。

そのため、工事の内容だけでなく、建物の所有者が誰であるのかといった点についても、十分ご留意していただきたいと思います。

なお、バリアフリー改修工事があった場合には、税額控除制度が設けられていますので、併せてご検討ください。

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