(中小企業で)法人税の欠損金の繰戻還付を当年度に失念した場合、翌期以降で更正の請求は不可である根拠は?
問題の所在
当期の決算中に、法人税の欠損金の繰戻還付を前期に適用できたのに、忘れてしまった!
それを更正の請求で可能かどうか?
ググったところ、明確に記載している記事がヒットしなかったので、調べた備忘メモ。
結論
繰戻還付は、更正の請求では、できない。
理由
以下の書籍には明確に記載されていた:
欠損金の繰越し・繰戻し (【法人税の最新実務Q&Aシリーズ】) (中央経済社)
趣旨を要約すると以下:
そもそも更正の請求は、国税通則法で規定されており、同23条第1項に規定されている
(更正の請求)
第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
とある(着色は筆者)
この点に関し、法人税上の欠損金の繰戻還付は、法人税法80条第3項で、要は、確定申告書と同時に「繰戻しによる還付請求書」を提出していることが要件であると、読み解ける:
(欠損金の繰戻しによる還付)
第八十条
(1項、2項、筆者省略)
3 第一項の規定は、同項の内国法人が還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出している場合であつて、欠損事業年度の青色申告書である確定申告書(期限後申告書を除く。)をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。
補足
特記事項なし
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