M社様)従業員を表彰する際に、(表彰「金」ではなく)クオカードを提供する場合、法人税、所得税、消費税の扱いは?

問題の所在

以下の事例を検討する:

  • DX推進チームにて、社内コンペを実施する予定
  • 新規事業案を課員から募集し、優秀な案を提案した社員に対して表彰を行う。
  • 新規事業のためにかかる費用のため、研究開発費に含めたいとの現場の意向がありますが、今回、表彰を行う際の景品の費用については、QUOカード等の金券(5~10万)を検討中

この点に関し、従業員を表彰する場合の表彰金や現物給付の、原則的な扱いについては、

  1. 法人税法上は、従業員に支給したものであるから、それを給与手当a/cで処理しようが、福利厚生費a/cで処理しようが、損金になり、
  2. 所得税法上は、原則として給与と認定され、源泉所得税の対象であり、
  3. 消費税法上は、(給与だから)非課税取引になる、

と分かりやすい。

しかし、以下の例外1と例外2がある。また上の「給与と認定」についても厳密には「給与か賞与か」問題がある:

例外1 給付方法が「金(カネ)」ではなく「モノ」の場合

給付方法がモノの場合には、2.の例外を所得税の基本通達で定めていて、例えばそれが長期間勤務、永続勤務の場合には以下の2つがアップされている:

〔給与等に係る経済的利益〕-(課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm

No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm

今回の事例で、上の所得税の基本通達が適用できるためには、以下の①②をクリアできるか否かが問題となる:

① クオカードは、
所得税基本通達36-21のいう「又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)」に該当するか?

② 「①がダメならクオカードではなく粗品にする」は、
所得税基本通達のいう「創業記念品」や「永年勤続表彰記念品」の支給に該当するか?

(直感的には、、、①でもうアウトのような気もするが)。

上の①に関し、クオカードは不可であると解説している記事は以下:

表彰の税金と税務処理

https://soum.info/jinji-nkazemu.html

この記事では、多面的に分析検討している。

(以下、一部抜粋)

・賞品に関する分類

・現金

現金による賞品は、少額であっても原則所得として扱われ課税対象となります。
表彰される理由(分類)により給与所得。一時所得。雑所得として課税されます。
法人には給与所得となる場合、源泉徴収義務が発生します。

・金券類(図書カード・クオカード・商品券)、カタログギフト

旅行券など換金性の高い賞品。自分で内容を選ぶことが出来る選択性の高いカタログギフト等は、現金同様に所得として課税されます。

・物による賞品

賞品として相当額と認めれる範囲の賞品の場合、福利厚生費として払い出し、受け取る側は課税されません。
しかし、商品の時価が相当額を超えて高額となる場合には、所得として課税されることがあります。

次に、上の②についても、「選択権がある場合には所得税上、課税である」と解説する記事は以下:

福利厚生費に、社員の所得税が課税されるケースがあることをご存知ですか(その2)

(以下、一部抜粋)

成績優秀者に現金を支給する、永年勤続表彰で金一封、創業〇周年の商品券、これらはすべて【給与として所得税課税】されます。
また、現金や商品券でなく「記念品」であったとしても、「記念品」を本人が自由に選択できる場合も【給与として所得税課税】されます。

「そうであるなら、記念品はロレックスにしよう。」というのも危ないです。記念品が高額の場合も、所得税が課税されます。
ただし、下記のような場合は、給与して課税しなくてもよい、と通達にあります。

(以下で、上の所得税基本通達36-21、36-22を引用:筆者追記)

 

例外2 (給与所得ではなく)一時所得に該当する場合

仮に、雑所得や一時所得に該当する場合には、源泉所得税を徴収しないことになります。

(以下、上の同じ記事から、一部抜粋)

・表彰理由による分類

賞品が課税対象となる場合、その表彰理由により給与所得、雑所得、一時所得に分類されます。その代表的な分類です:

 

・給与所得となる理由

社員が通常の業務の範囲内の功績で受け取った賞品
例:業務の改善、工夫、安全運転、その他の業務上の功労等による表彰

・雑所得となる理由

発明等により特許権、実用新案登録等の功績に対する対価として受け取った賞品
例:研究室に勤務し、研究成果が実り会社はその特許権得た。その功績に対する表彰

・一時所得となる理由

社員が通常の業務の範囲を超えた功績で受け取った賞品
例:勤務時間中に急病人を発見し、業務を中断して救護活動を行った。自身が関係のない他部署の業務改善等を手伝った。

 

「給与か賞与か」問題

国税庁hpでは、給与を前提にしているが、厳密には給与か賞与かにより、源泉する社会保保険料も影響を受ける

 

第17回 報奨金の現金支給や現物給与

https://jinjibu.jp/spcl/sp0005755/cl/detl/1248/

(以下、一部抜粋)

<給与の一部を現金で支給した場合>
社員に対するインセンティブとして、成績優秀者に対する報奨金や特別賞与などを表彰式で現金支給することがあります。通常の給与とは別に現金支給したこれらの報奨金も、給与所得としての課税処理が必要です。
処理方法は、先に現金で支払っているので、給与計算の時に所得税等を控除します。
最も判り易い方法は、支給欄の中に「報奨金」等の項目を作成し、課税対象かつ雇用保険の対象になるように設定します。また、控除欄に「その他控除」等の項目を作成し、この両方に現金支給をした金額を計上します。
これにより、現金支給分も含めた金額で雇用保険料と所得税が計算されます。そして、すでに現金で支給した同額を「その他控除」等で差し引くことで、現金支給に対する雇用保険料と所得税の精算ができたことになります。

厳密には、この報奨金や特別賞与などが、「給与」にあたるか、「賞与」にあたるかで、社会保険料や所得税の計算方法が変わってきます。上で説明したのは、給与扱いで計算した場合です。
賞与扱いになる場合は、報奨金や特別賞与などを単独で支給したものとして、社会保険料や雇用保険料、所得税を計算する必要があります。すでに全額を現金で支給していますので、単独で計算したこれらの控除金額を本人から徴収するか、現金支給額がちょうど手取り額になるように、総支給額を調整(加算)しなければなりません。
「給与」と「賞与(*1)」のいずれかにあたるかは、給与規程等でその報奨金や特別賞与をどのように定めているかによります。
(*1)賞与の定義
健康保険法・厚生年金保険法上の賞与の定義は、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものをいいます。なお、年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象とされ、また、労働の対償とみなされない結婚祝金等は、対象外になります。

結論・理由

以下の通りと考える:

 

例外1 について

上の参考記事の、クオカードは、換金性が高く、現金等価物と判断し、例外1に係る所得税の基本通達の適用はなく、給与課税になると考える。

 

例外2 について

上の参考記事の、「社員が通常の業務の範囲内の功績で受け取ったもの」に該当し、上と同様に、給与所得に該当すると考える。(→したがって、源泉所得税を徴収する必要がある)

 

「給与か賞与か」問題 について

年1回だけの支給であることから、年3回以下であるため、賞与に該当すると考える。

 

補足

なお、上のリンク先は、多面的に分析検討していて、大変参考になる。

(以下、別の記事を一部抜粋)

・課税問題の解消方法

現金及び金券の配布について、運用上受けとる側が同意しさえしていれば、給与として所得税の源泉徴収を行うことにより問題は発生しません。
社内の風潮として、賞品の受取には税金がかかる。ということを周知しておくことが重要です
予め予防するには、少額の場合には物品による賞品としておくことが最も容易です。

・課税が特に問題となる例

賞金等が多額となる場等合、その課税がなされることで思わぬトラブルとなる可能性もあります。
・所得が被扶養者の所得額上限にいる者
所得額が当初の見込みよりも増えることで、被扶養者となる所得額が超えてしまう。
・非課税となる一時金扱いであるが、課税される
表彰される側と受け取る側の関係と属性では、賞金は一時所得(最高50万円)として非課税であったが所得税が徴収された。 等。

もう一つ、多面的に分析検討してる記事は以下(結論も上のリンク先と一致している):

社員への報奨金や表彰金には税金がかかる⁉︎それぞれの事例について解説

また、ピンポイントで、今回の社内表彰と源泉所得税の解説は以下:

社内表彰制度の表彰金と源泉所得税

https://www.hisida.co.jp/info/e249.html

また、(年金事務所から)社会保険の計算上、給与とされた事例の紹介は以下:

奨励金の扱いについて

https://jinjibu.jp/qa/detl/60250/1/