税理士用)遺産分割協議用の、遺産分割案を手早く作るには?(JDL IBEXクラウド組曲Major を前提)
問題の所在
「遺産分割協議の際には、税理士から、遺産分割案を提供するのがベター」と税理向け研修でもよく言われる。
しかし、実際に作ると以下の点が難点である:
- まず、この目的のため用のテンプレートは用意されていないため、作るとしたら別途エクセルファイルになる。
- 土地について、時価の金額と、相続税評価額の金額を併記するのが煩雑
- 相続税申告書データを更新すると、都度、手作業でエクセルファイルを更新する必要がある。
結論
JDL IBEXクラウド組曲Major の「財産評価」システム、「相続シュミレーション」システムの利用を前提に、以下の通り:
- 出力帳票「相続財産の価額及び相続税」を単純印刷する
- 土地の金額を ÷0.8,建物の金額を ÷0.7 した金額を手書きで追記(赤色)
- 表の小計、合計を、上の1.や2.の置き換えを反映して置き換える。
- 純資産の合計金額の下に、マーカー下線
例えば以下の通り(なお、青字は後述)
理由
上のやり方のメリットは以下:
- 各人に帰属する、純資産の相続税ベースの時価は印刷されているのはもちろん、純資産の「時価」も明示される
- 純資産の「時価」を下線マーカーすることで、「遺産分割協議書上、この金額が一番重要」と示せる。
- 相続税の金額の表示も、
- 各人の相続税も表示されるし、
- 配偶者ゆえ最終的に納税がゼロ等になることも表示される
- 別途のエクセルを作製せずに済む
- システム出力ゆえ、最後の申告書との整合性も担保される
補足
この事例では、
- 貸家建付地の持分が夫婦共有(父:母=23:77)で、
- 母が逝去し、母の持分を長女が相続するのであるが、
- 相続の直後に、父の持分23%を長女へ譲渡して、都合、土地建物とも100%保有する
ことを、上の相続と一体で見えるようにする必要があった。
その方法は以下で、その結果、上の画像のようになる:
- 上の、「相続財産の価額及び相続税」をまず作成(以下で「①」という)
- 父の持分23%を長女へ贈与する際の贈与税の計算メモの中で、以下の2つの金額をエクセルで算出
- 財産評価に基づく価格
- 最終的な贈与税の金額
- ①に、以下を追記して完成
- 純財産の合計である、【課 税 価 格】のすぐ下の余白に、(青色などで)修正後金額とマーカー
- 最終行の、【納 付 相 続 税 額】のすぐ下の十分な余白に、(青色などで)修正後金額とマーカー
この際には、どうしても相続税アプリケーションの外でエクセルで贈与税の計算(=財産基本通達に基づく土地建物の金額の計算)が生じてしまうので、同期に注意!
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