所得税の生命保険控除の計算で、新生命保険と旧生命保険を全部記載すると控除金額の最大が4万円で、旧生命保険だけ記載した方が控除金額が最大で5万円になることがあるって?
問題の所在
所得税の確定申告業務上、あるお客様で、
Aさん
・新生命保険料 1,500,000円(→相続対策)
・旧生命保険料 113,472円
Bさん
・新生命保険料 1,500,000円(→相続対策)
・旧生命保険料 94,952円
で、
二人とも、2つずつ全件、入力したら、
Aさんの生命保険料控除は 50,000円
Bさんの生命保険料控除は、40,000円、
と算出されたが、Bさんは、新生命保険の最高限度額は5万円なのに、2つ入力したら4万円になるって?
なお、Bさんについてシュミレーションで、
・新生命保険料 1,500,000円 と 旧生命保険 94,952の2件を入力
→ 控除金額は、40,000円
・新生命保険料 1,500,000円 だけ入力
→ 控除金額は、40,000円
・旧生命保険料 94,952円 だけ入力
→ 控除金額は、48,753円(=94,952×(1/4)+25,000)
と表示される。これは、国税庁確定申告書等作成コーナーでも、弥生会計の決算モジュールでも同じ結果になった。
結論
この場合には、敢えて、旧生命保険分「だけ」入力する。
実務上、年末調整
理由
税務研究会出版局「令和3年分 所得税 確定申告の手引き 《令和4年3月申告用》」p674の冒頭に、
「③新生命保険料および旧生命保険料を支払った場合」で、要は、上の3通りのいずれかの金額を選択することになる!
補足
2つ入力した方が、生命保険料控除がかえって少なくなるケースがあるなんて、おかしいルールだ。
ただ、決まっている以上、注意しないといけない。
税理士事務所では、生命保険料控除は、やっつけで、提出された控除証明書を機械的に全部入力して済ますことが多いが、このようなリスクに注意。
特に、多くの場合、生命保険料控除は、確定申告ではなく、年末調整で多く処理されるため、年末から留意しておく必要がある。
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