顧問税理士が会計士・税理士だとしても、労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に 対する合意された手続業務を顧問税理士ができない根拠は?

問題の所在

当事務所では所長が公認会計士・税理士であるため、労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する監査、又は合意された手続業務が可能である。

この点に関し、「顧問税理士(会計士)が当該業務ができるのか?」という質問を受けることがあるが、直観的には独立性に抵触すると考えるが、具体的な内容の備忘メモ。

 

結論

以下の2つ:

 

1 日本公認会計士協会 CPE研修「2021年下期 監査事例研修会 テキストⅢ(職業倫理)、p20、p21

(以下、一部抜粋)

Q4.労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務の受嘱の可否

公認会計士・税理士甲は、税務顧問契約を締結しているX社(公認会計士法上の大会社等ではない)から、労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務の依頼があった。甲は、当該合意された手続業務を受嘱することは可能か。

(コメント等)
1.合意された手続業務においては、依頼主等からの特段の要求がなければ、通常は、業務の対象とする情報等に責任を負う者に対する独立性は要求されない(専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」第29項及びA29項【参考資料12】(P.49))。
2.本業務に関わる厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」及び「職業紹介事業の業務運営要領」の法令等においては、業務の実施に当たり独立性を要求する旨の定めはない。
3.しかしながら、専門業務実務指針4450「労働者派遣事業等の認可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務に関する実務指針」(以下「専門実4450」という。)によれば、本業務は、許可の有効期間の更新の事後申立てに限り、監査証明の代替として、当面の間、許容されている取扱いであることから、専門実4450では、本業務に当たり、独立性の保持を求めている( 専門実4450 A1 項【参考資料13 】(P.50))。
4.そのため、本件の業務を行うに当たり、業務実施者は、公認会計士に関連する職業倫理に関する規定(公認会計士法・同施行令・同施行規則、日本公認会計士協会が公表する会則、倫理規則、独立性に関する指針及びその他の倫理に関する規定)を遵守する必要がある(専門実4450 第11項【参考資料13】(P.50))。
5.公認会計士法では、公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等から税理士業務により継続的な報酬を受けている場合には著しい利害関係に該当し、監査証明業務を行ってはならないとされている(公認会計士法第24条第1項第3号及び第2項【参考資料1】(P.2))並びに同施行令第7条第1項第6号【参考資料3】(P.7))。
6.したがって、甲氏が税務業務によりX社から継続的に報酬を受け取っている場合には、本件の合意された手続業務の提供を辞退することが適切であると考えられる。

 

2 日本公認会計士協会 CPE研修「2021年下期 監査事例研修会 参考資料Ⅲ(職業倫理)、p49、p50

→ ここで、

▼専門業務実務指針4400 合意された手続業務に関する実務指針

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20211119jaf.html

▼専門業務実務指針4450 労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務に関する実務指針

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20181220ihf.html

が引用されている、

 

理由

特記事項なし

 

補足

特記事項なし