当事務所用)【2023/1/25修正】金融機関からの借入金に係る信用保証料の科目を支払利息a/cとすることの理由は?

問題の所在

金融機関からの借入金に係る信用保証料の、支出時の計上科目や、(償却を含む)費用処理した際のa/cは、ググると、多様なので悩ましい。

まず、会計的には、以下がベター

・計上時には、長期前払費用a/c、又は、前払費用a/c、

・費用処理時には、支払手数料a/c

しかし、法人税法上、(長期)前払費用a/cには重要性による簡便的な処理が認められていないため、毎期末、細かい償却計算を強いられる。

また、消費税法上、保証協会の保証料は不課税取引だが、支払手数料a/cは会計ソフトのデフォルト設定上、課税取引なので、仕訳上、非課税取引に置き換える手間が生じるし、期末の消費税chで引っかかって「なんだ、合っているんだ」という不毛な手間が生じる。

そこで、税理士事務所的には、

・そもそも保証協会の保証料はそれほど多額ではないことが多いため、その期で全額費用処理したい。その場合、これを繰延資産と同視すれば、繰延資産の規定で20万円以下の支出の場合の一括償却が使える。

・計上科目(上から、費用処理科目)は、繰延資産なので、敢えて(長期)前払費用償却a/cを使うのは自己矛盾になるので、そうなると、独立の科目を設定する、例えば「支払保証料a/c」などがベストなのであろうか?

しかし、基本的には、科目の数はなるべく少ない方がベターである。(★当事務所は、科目の細分化の方針を採ってはいるが、大前提として、ベースの科目数は少ない方が良いと考えている)

ならば、(長期)前払費用a/cから乖離した時点で、もう、なんでもありになる。 → ならば、消費税法上、不課税取引の設定をしていて、なんとなく財務費用っぽい科目である、支払利息a/c、が消去法で最適、となる。

しかし、、、勘定科目内訳明細書を作成した時に、「借入金及び支払利子の内訳書」の「期中の支払利子額」の記載が問題となる。

すなわち、この列の金額の合計は、PLの支払利息a/cの金額に通常、一致させる。

しかし上の方針だと、例えば「返済が据え置きな借入金」の場合、返済ゼロ→支払利息もゼロ、なのに、「期中の支払利子額」に、上の保証料分の金額を記載することになる(支払っていないのに、、、、)。当該金融機関がみたら、何か言ってこられるかなと不安になるが、、、、

「じゃあ、支払っていないのなら、ゼロにすれば? PLと不一致になってもいいでしょう」と言われるかもしれないが、決算書と不整合にするのは違和感があって。。。。

では、戻って、支払保証料a/cを新設するとなると、ではPLのどの区分に計上するかであるが、財務費用なので、営業外費用の区分であろう。。。。が、これはこれで決算書本体で明示されてしまう点で、あまりスマートと言えない。

 

結論

支払利息a/cの一択。

支払保証料a/cの一択。

支払利息a/cの一択。

 

理由

信用保証協会による保証料は、長期前払費用a/cに計上する。

長期前払費用a/cは借方は課税、貸方は不課税の設定のハズ。

他方、支払手数料a/cは、会計ソフトの科目設定上、デフォルトで、課税仕入の設定にしているため、自動仕訳だと、

(借)支払手数料(課税)(貸)長期前払費用(不課税)

と起票され、支払手数料a/cは取引数が多いため、消費税の税率分析でもスルーしてしまうリスクがある。

これを、支払利息a/cにしておけば、支払利息a/cは会計ソフトの設定上、非課税取引で設定されているので、自動仕訳で、

(借)支払利息(非課税)(貸)長期前払費用(不課税)

と計上され、そのままで大丈夫。。。といいたいが、支払利息の金額は勘定科目内訳明細書の借入金のところで、借入金残高と対照される形で記載するので、これに保証料償却分がオンされると、支払利息が過大に見えることがあり、これは望ましくない

→ ゆえに、小手先の対応はあきらめて、これ用に、支払保証料a/cを新設した方がベター。

→ 決算書の本体上で目立つのは回避。

後は、勘定科目内訳明細書上の「期中の支払利子額」欄に記載するか否かだが、以下の方針にする:

・通常の場合、保証料の他に支払利息があるなら、記載する

・上の要に他に支払利息がない場合には、記載しない。

 

上のためには、大前提で、「実務上、会計上で、支払利息a/cを使われることがある」ことの根拠が必要である。

それは以下の記事が参考になる:

 

Q122【信用保証協会保証料】勘定科目は前払費用?繰延資産?返金時の会計処理は?/賃貸物件借入時の家賃保証は?

(以下、一部抜粋)

貸借対照表上は、固定資産(投資その他の資産)の部に「長期前払費用」として計上します。
また、損益計算書上は、支払保証料の内容は、財務費用ですので、営業外費用の「支払保証料」や「長期前払費用償却」となります。金額的な重要性の観点から、「支払利息」に含めた表示でも、実務上は問題ありません。

(以下、筆者省略)