社会保険料を支払う仕訳の貸方科目を、法定福利費a/c(支払金額)とする理由は?
問題の所在
毎月、社会保険料の仕訳を計上します。その仕訳の作り方には、実務上、以下の2通りあります。
第1法
- 給与支給時
(借)諸口 50 (貸)法定福利費 50
- 社会保険納付時
(借)法定福利費 100 (貸)普通預金 100
第2法
- 給与支給時
(借)諸口 50 (貸)預り金 50 - 社会保険納付時
(借)法定福利費 50 (貸)普通預金 100
預り金 50
減点法で優劣を比較すると、
- 第1法だと、社会保険料納付日が月末休日の場合に、法定福利費がマイナスになり、当月と翌月の月次損益がぶれる(なお、年度末日が休日の場合には、同額を未払金a/cで計上する。この点、第2法では、ぶれない)
- 第2法だと、仕訳取込データを作成する際に、社会保険納付時の仕訳を作成するのに手間がかかる(この点、第1法では、複合仕訳で調整する必要がない)
実務上は、見聞きする範囲で、第1法の方が多く採用されている。ただし、TKCでは月次損益の正確さを重視するので、第2法を励行しているようである。
さて、どちらを採用した方がよいのか?
結論
第1法。
ただし、加えて、当月末に社会保険料が預金口座から引き落とされない月は(=月末が休日、12月末)、仮に12月の場合には、
12/31 (借)法定福利費 100 (貸)未払費用(社会保険)100
1/1 (借)未払費用(社会保険)100 (貸)法定福利費 100
をセットで仕訳して、月次損益の歪みを自動調整する。
理由
実務上、第2法の、いわゆる消込処理は煩雑であるので、回避する。
補足
上のセット仕訳は、当事務所では、仕訳取込エクセルで実現している。
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