貸倒損失の計上と、時効の援用の前後関係って?

問題の所在

貸倒損失の要件がわかりにくい。

結論

税務調査で、

  • 「これは時効が2年以上前に到来しているので貸倒損失計上時期が違います」(期ズレ)
  • 「税務上の時効は5年超ですから、計上した貸倒損失は否認します」

と否認指摘を受けても、時効の援用がなされていない限り、この債権は法的に存在していますから、
この否認指摘は間違っています。

理由

税務上貸倒損失が問題になるのは、債権が法的に残っているからです。

そこで、基本通達9-6-1~9-6-3により、法的には債権が残っていても、税務上は損金にしていい範囲を定めている。

ですから、そもそも債権が法的に消滅していれば、その時点で税務上の判断を待たずに貸倒損失を計上でき、計上時期を判断する必要性もない。

補足

調査官も時効の援用が債権の消滅時効要件であることを知らないことがあるため、気を付ける必要がある。