当期中に課税売上高が5千万円を超えた場合、本則で納税額を計算するのは当期?2年後?
問題の所在
以下の事例:
・決算期は10月。当期は令和7年10月期。
・従来、簡易課税。当期中にやっと課税売上高が5千万円を超えた。
・さて、本則の計算に移行するのは、当期?(基準期間が当期なら)2年後?
結論
2年後。令和9年10月期。
理由
消費税の簡易課税制度から本則課税(一般課税)へ切り替わる主な条件は、
事業者の選択による手続きと、強制的に適用除外となる条件の2つがあります。
1. 事業者の選択による切り替え
事業者が自らの意思で本則課税へ切り替える場合、以下の手続きが必要です。
- 届出書の提出:適用をやめようとする課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
- 2年間の継続適用義務:一度簡易課税制度を選択すると、原則として、選択した課税期間を含めた2年間は簡易課税を継続しなければならず、その期間中は本則課税への変更はできません。ただし、この「2年縛り」にはいくつかの例外措置があります(例:災害等による特例)。
2. 強制的に簡易課税が適用除外となる条件
以下の条件に該当した場合、事業者の意思に関わらず、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができなくなり、自動的に本則課税が適用されます。
- 基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合:簡易課税制度は、基準期間(通常は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の事業者に限定されています。この金額を超えた場合、その超えた課税期間から簡易課税は適用されず、本則課税で申告することになります。
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補足
覚え方としては、
・当期中の売上高の増減によって、当期の消費税の計算方法が変わるのは不安定。
・上の点は、「免税事業者になるか否か」といっしょ。なら、基準期間のロジックをここでも反映すべきでしょ。
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