当社の従業員がマニラに移住し、海外リモート勤務をする場合の課税関係は?

問題の所在

以下の事例:

・当社A社は日本のみ拠点があり、顧客も日本国内のみ。

・従業員のうちB氏が家庭の事情で、マニラで暮らしたいと考えている。

・ただ仕事はA社の仕事をしたく、マニラから海外リモート勤務をご希望。

この場合の課税関係は?

ちょっとググると、以下の記事のように、PEリスクを指摘する記事もあったりするが。。。。

海外リモートワークとPEリスク

海外リモートワークとPEリスク

結論

従来と同様に、通常の国内の従業員に対する、給与の源泉所得税と年末調整だけでOK。

 

理由

論点は以下の2つ:

1)B氏のリモートワークが、PEに該当するリスクがあるか?

・上の問題の所在にあるとおり、当社A社はドメドメの会社である。

・PEの有無の視点からいえば、B氏はマニラで自宅でリモートするので(=A社はB氏のために事務所を借りるなんてしないので)、PIEなんてない。

2)非居住者等に対する源泉徴収の要否

・B氏の毎月の給与(+年2回の賞与)から源泉所得税を徴収するか否かが問題となる。

・リモートワークは、実態としては、国内で勤務していると考えられる。

・まずB氏は、いわゆる非居住者等に該当する。

・ルール上、非居住者の社員に対して支払われる給与等のうち、日本国内で行われた勤務に対する部分だけが、国内源泉所得に該当する。

・ゆえに、端的には、国内の他の従業員と同様に、源泉徴収と年末調整をすることになるし、それだけで足りる。

 

補足

上の2)は、以下の本のp39→p43が参考になる: