F社様用)リース取引と割賦取引との違いは?

問題の所在

以下の事例:

・ホームページ制作で、9/26付けの納品書の金額が以下の通り:

合計(税込み):952,306円

お支払方法:クレジット

お支払いについて:信販支払回数:60回、信販支払月額:20,000円、

・別途、10/1付けの「ご契約金額内訳」の表は以下の通り:

回数 60回、お支払金額 毎回 20,000円 ★支払利息の内訳金額なし 割賦代金合計 120万円。

・元利均等払的に、毎回の2万円の支払い中の支払利息の金額を算出する?

・でも、毎回、支払利息を計上するのは煩雑。

・でも、支払利息を経費計上したい、しなきゃ?

 

結論

これは、割賦取引である。

税務上は、実務上の便宜を考慮して、原則として「割賦手数料」部分を区分せず、取得価格に含めて処理する。

この取引はホームページの購入契約で、ソフトウェア本体952,306円のうち,CMS支出見合いが531,520円(税込み)のため、仕訳は、

(借)ソフトウェア(税込み) 531,520 (貸)長期未払金 1,200,000
広告宣伝費(税込み)  420,786
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇  247,694

の〇〇〇〇の処理が問題となる。上の「原則として「割賦手数料」部分を区分せず、取得価格に含めて処理する。」を考慮すれば、ソフトウェアa/cと広告宣伝費a/cの金額比で按分するか、全額をいずれかに寄せてオンことが考えられるが、ともに資産科目であれば按分でいい気がするが、資産科目と費用科目。。。

なので、税務的に保守的にソフトウェアa/cへ寄せて、仕訳は以下:

(借)ソフトウェア(税込み) 779,214 (貸)長期未払金 1,200,000
@@@広告宣伝費 (税込み) 420,786

 

理由

以下の記事が網羅的で参考になる:

Q172【徹底比較】割賦購入の会計処理・割賦手数料の取扱いは?/リース購入とどちらが得?

Q172【徹底比較】割賦購入の会計処理・割賦手数料の取扱いは?/リース購入とどちらが得?

(以下、一部抜粋)

1. 会計処理・税務上の取扱い

(1) 固定資産本体価格

割賦で購入する場合も、固定資産を購入する点では「現金一括払」と違いは全くないため、固定資産本体部分は「固定資産」で計上します。

(2) 割賦手数料の取扱い

割賦で購入する場合は、「割賦手数料」が含まれているため、固定資産「本体価格」よりも「支払総額」が多くなるのが一般的です。「割賦手数料」の実質内容は、返済期間に応じた「利息」となります。
「割賦手数料」については、税務上は、下記2つの処理が認められています。

原則取得価格に含める
例外「支払利息」として区分して期間按分

税務上は、実務上の便宜を考慮して、原則として「割賦手数料」部分を区分せず、取得価格に含めて処理することとされています。
ただし、①購入代価と②割賦期間分の利息等が明らかに区分されている場合は、「支払利息」として別建処理し、期間按分することが認められています。

2. 具体例

2020年4月に、新車を割賦(ローン)で購入した。
・車両本体価格 3,300(本体3,000、消費税300)
・割賦手数料  500(購入時に一括払するものとする)
・支払総額   3,800● 車両の法定耐用年数:6年(定率法、償却率0.333)
● ローン返済期間:5年(60か月)
● 3月決算の法人とする

※諸費用については省略。車購入時の会計仕訳については、Q56をご参照ください。

(1) 原則的な会計処理(手数料を取得価格に含める)

① 取得時

借方貸方
車両運搬具(※1)3,500長期未払金3,800
仮払消費税(※2)300

(※1)3,000+500=3,500
(※2)3,000×10%=300

● 支払期間は5年ですが、消費税は購入時に全額控除可能です。
● 割賦手数料部分は「消費税非課税」ですので、会計ソフト上、本体価格3,000に対応する消費税300は、手入力しないといけない点に注意しましょう。

② 決算時

借方貸方
減価償却費1,165車両運搬具1,165

● 3,500千円×0.333=1,165

原則法では、割賦手数料部分も、固定資産の減価償却計算を通じて償却されますので、実務的には楽ですね。

 

(2) 例外的な会計処理(手数料を支払利息として期間按分)

① 取得時

借方貸方
車両運搬具(※1)3,000長期未払金3,800
長期前払費用(※1)500
仮払消費税(※2)300

(※1)車両本体価格のみが車両運搬具、割賦手数料は「長期前払費用」として、期間に応じて費用化します。

② 決算時

借方貸方
減価償却費(※1)999車両運搬具999
支払利息(※2)100長期前払費用100

(※1)3,000×0.333=999
(※2)500 ÷ 60か月 × 12ヶ月=100

●例外処理の場合の初年度費用合計は1,099(減価償却費999+支払利息100)。
原則処理での費用額1,165と金額が異なってくる点に注意しましょう。

●例外処理では、本体「車両運搬具」部分は定率法、「支払利息」部分は均等償却となるため、原則法とは毎年費用になる金額が異なってきます(割賦期間5年間トータルで比較した場合の「費用合計額」は同じ)。

3. 実務上の取扱い

実務上は、契約書や返済予定表で「利息部分」が明示されていない場合が多く、かつ処理も平易であることから、中小企業では「原則法」で処理する場合が多いと思います。
初年度費用額も、ほとんどの場合、「原則法」での会計処理の方が多くなります。

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補足

割賦販売に気づくのが最大のポイント。

なお借入金返済取引とリース取引と割賦取引の異動がわかりにくいが、

・お金だけのやり取りなら、借入金取引

・当事者に加えてリース会社が登場すれば、リース取引 ★物の所有者はリース会社

・当事者のみなら、割賦販売 ★物の所有者は、一応、購入者

なお、上場会社では、収益認識準になったため、割賦販売基準は廃止になったが、仕入側は別。

 

つい、「CMS支出はソフトウェアa/c、それ以外は広告宣伝費a/c」の論点から処理してしまうと、取得価額が952,306円で固定されてしまうため、リース取引、差額を利息計上、なら元利均等で計算、、、とズレていってしまうので注意。