問題の所在
顧問先様が、今度、チケットレストランなるサービスを導入予定。
サービスチャージ54,000円/月の半額を社員が負担し、半額を会社が負担する予定。
この仕訳を検討した際の備忘メモ。
結論
以下の通り。なお金額例は、
・最初(以下の請求書の画像参照)
月額の会社支払額(チャージ料)が上述の54,000円(税抜き)、業務委託費(=サービス利用料)が月額5,940円(前述の支払額の10%、税込み10%)配送料とカード発行料で計6,050円(税込み10%)
・以降
月額の会社支払額が上述の54,000円(税込み、8%軽減)、業務委託費(=サービス利用料)が月額5,940円(前述の支払額の10%、税込み10%)、従業員は10名。本人負担分の計が27,000円(税込み、8%軽減)
↓
① 会社:
最初 10/16(=チャージ指定日):
(借)預け金(不課税) 54,000 (貸)未払金 65,990
(借)支払手数料(課税10%) 5,940
(借)支払手数料(課税10%) 6,050
10/16~11/4(=その都度利用時):
仕訳なし ★下の11/5で合計仕訳のため
11/5(=支払時):
(借)福利厚生費(課税8%軽減) 54,000 (貸)預け金(不課税) 54,000
(借)未払金(不課税) 65,990 (貸)普通預金(不課税) 65,990
11/16(=次のチャージ指定日):
(借)預け金(不課税) 54,000 (貸)未払金 60,050
(借)支払手数料(課税10%) 6,050
(その都度利用時):
仕訳なし ★下で合計仕訳のため
12/5(=支払時):
(借)福利厚生費(課税8%軽減) 54,000 (貸)預け金(不課税) 54,000
(借)未払金(不課税) 60,050 (貸)普通預金(不課税) 60,050
・・・・・・・・・・・・・・・
② 従業員への給与「支払い」時(注1):
(注1)当社は当月末締め翌月15日支払いで、当月末時点で、(借)給与手当 xxx (貸)未払費用 xxx を計上している:
(借)未払費用 xx (貸)普通預金 xx
+++++++++++++福利厚生費(課税8%軽減)(注2) 27,000円
(注2)仕訳方法は「雑収入」「立替金」「福利厚生費」など色々考えられますが同じ科目で継続的に使用します。実務上は「雑収入(課税)」が多い気がします。
理由
まず開始月の仕訳の論点は、いわゆるプリペイドカード方式の仕訳であり、以下の記事が参考になる:
プリペイドカードの購入から利用した時までの仕分けについて
https://www.zeiri4.com/c_1032/c_1033/q_107826/
(以下、一部抜粋)
プリペイドカードの購入から利用した時までの仕分けについて
青色申告の準備をしていますが、会計初心者なのでわからないことだらけで困っています。
ガソリンを入れるために、¥50000のプリペイドカードを購入し¥52000分利用できるのですが、浮いている¥2000をどのように処理すればよいのかわからずにいます。
カードを購入して利用するまでの仕分けを、摘要や科目も合わせて詳しく教えていただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
前払金50,000円/現金預金50,000円 摘要ガソリンプリペイドカード購入
使用時
車両費〇〇円/前払金〇〇円 摘要ガソリン代
です。
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また消費税の扱いは以下の国税庁の記事が参考になる ★要は商品券と同じ
No.6229 商品券やプリペイドカードなど
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6229.htm
そして、次月以降の、社用食事代の会社と従業員の仕訳については、以下の記事が大変参考になる:
Q42 食事代が福利厚生費で認められる条件/仕訳や消費税の取扱い/社長やフリーランスは?
(以下、一部抜粋)
2. 従業員から徴収した食事代の消費税上の取扱い
「福利厚生費」の要件を満たすため、事業者が、従業員負担分の食事代を受け取る取引は、「課税資産の譲渡等の対価」となり、「受取金額」を課税売上として計上します。
仕訳方法は「雑収入」「立替金」など色々考えられますが、実務上は、「雑収入(課税)」で統一しておく方が混乱が生じないかと思います。
なお、会社側が負担した弁当等の購入代金は、当然「課税仕入」に該当します。
(※1)事業者が負担する材料費、光熱費、施設の運営費、外部食堂への食事代金は課税仕入
(直営給食施設の従業員に支払う給与は課税仕入×)
(※2)従業員から受け取った食券代金を「預り金」処理し、契約食堂代金に充当する場合は、例外的に課税対象外OK。この場合は、「事業者実際負担部分」のみが課税仕入の対象。
3. 具体例
(例題)
●1人1か月弁当代5,000円を会社が支払(税抜額・軽減税率適用)
●従業員負担分は、給与から天引きし、従業員徴収分にかかる消費税も、別途徴収するものとする。
●従業員給料は200,000円/月。給与源泉、社会保険料等の仕訳は簡便的に省略する。
(1)従業員が月3,000円(税抜)負担する場合
従業員が月3,000円(税込)負担する場合、弁当代金5,000円の半分以上を従業員が負担しています。
また、会社負担額は5,000円-3,000円=2,000円となり、会社負担額月額3,500円(税抜)の要件も満たしますので、「福利厚生費」の要件を満たします。
仕訳は以下の通りとなります。
●会社側での実質的な経費額は、5,000円(福利厚生費)‐3,000円(雑収入)=2,000円となります。
●弁当購入額5,000円は、全額消費税仕入税額控除が可能ですが、従業員徴収分3,000円は課税売上で計上されます。
●福利厚生費の要件を満たす場合、従業員側には給与課税されません。
(2)従業員が月1,000円(税抜)負担する場合
従業員が月1,100円(税込)負担するケースの場合、「福利厚生費」の要件は満たしません。
仕訳は以下の通りとなります。
●会社側の実質的な経費額は、経費の額は5,000円(福利厚生費)‐1,000円(雑収入)+4,000円(経済的利益売上)で、ゼロになります。
●従業員から収受しない金額(経済的利益部分)は、消費税課税対象外となります(消基通5-4-4)
(食事提供先が役員の場合は、譲渡時の「時価」を基準に消費税が課税)。詳しくは、Q184をご参照ください)。
●全額「給与」となりますので、従業員側は給与課税されます(源泉徴収の仕訳は省略)。
●市販の「弁当」の場合と、自社で提供するまかないの場合で、「経済的利益」の金額が異なり、売上計上金額は変わってきます。
4. 勤務時間外の残業パン代などは?
残業等でパンなどを支給するケースもあると思います。
こういったパンなどにも従業員側は半分負担が必要なのでしょうか?
(1)全額福利厚生費OK
結論的には、残業等「勤務時間外」での現物支給は、「経済的利益」の提供ではなく、会社の利益(業務遂行)のための支出と考えられ、従業員半分負担、会社負担月3,500円の要件はありません。
下記の要件を満たす場合は、食事代金の全額を福利厚生費として処理が可能です。
(※)いっしょに飲食店に食べに行くのはOK。また、会社側で食事を用意できない場合、「本人が立替、後日レシートで精算」も、残業にともなう「実費弁償」と考えられ、現金支給には該当しないと解されています。
なお、ここでの残業食事代は、あくまで「勤務時間外」での支給に限定されます。例えば、深夜勤務(18時から26時など)で、「勤務時間内」で夜食を出した場合は、「上記1」の要件が必要となります。
(2)宿直・日直等通常勤務時間以外の場合
宿日直に関しても、通常の勤務時間以外の当番となりますので、上記(1)と同様に、全額福利厚生費で認められます。
なお、宿日直に関しては、宿直料等として、勤務1回あたり4,000円以内(食事含めて)の現金につき「非課税」とできる規定があります。
実費弁済的な取り扱いとして、例外的に認められています。
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補足
このサービスのhpの解説のうち、以下の①②の記事が参考になる:
① そもそも、食事補助の税法上の扱いを詳細に解説している記事は以下:
【税理士監修】食事補助は非課税?福利厚生の仕組みと注意点を解説!
https://edenred.jp/article/employee-benefits/108/
(以下、一部抜粋)
食事補助が福利厚生になる条件
では、食事補助が福利厚生として認められる条件とはどのようなものなのでしょうか。
国税庁は、以下の2つの要件を満たしている場合に限り、従業員へ食事の支給をしても課税対象とはならない(=福利厚生として認められる)と定めています。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
出典:No.2594 食事を支給したとき|国税庁
例えば、ある従業員の1カ月分の食事代6,000円のうち、3,000円を従業員自身が負担している場合、企業側の負担額は3,000円です。このケースでは、国税庁が定める条件の(1)(2)をともに満たすため、福利厚生費として扱えます。
一方、1カ月の食事代6,000円のうち、従業員の自己負担額が2,500円だった場合、(2)の要件は満たしますが(1)は満たしません。この場合、福利厚生費にはできず、給与の支給として課税対象になります。
なお、一部例外として認められているのが、深夜勤務者への食事補助です。深夜勤務者に対しては、1食あたり300円を上限に非課税での現金支給が認められています。また、残業や宿日直時に現物支給された食事は課税対象外となり、全額を福利厚生費として損金計上が可能です。
出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
福利厚生費にできる「チケットレストラン」
新たな福利厚生として、食事補助の導入を検討する企業から、ひときわ多くの注目を集めているサービスにエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」があります。
「チケットレストラン」とはどのようなサービスなのか、多くの企業から選ばれる理由とともに紹介します。
日本一の実績を誇る福利厚生の食事補助サービス
「チケットレストラン」は、専用のICカードを使って利用する福利厚生の食事補助サービスです。
サービスを導入した企業の従業員は、専用のICカードで支払いをすることで、加盟店での食事代金が半額になります。
「チケットレストラン」の加盟店舗数は、ファミレス・コンビニ・カフェ・有名チェーン店など、全国に約25万店舗にものぼります。店舗のジャンルが幅広いため、利用する人の年代や嗜好を問いません。
また、勤務時間内であればいつでも利用できるのも、「チケットレストラン」ならではの大きな魅力です。利用するタイミングが自由なので、ランチはもちろんのこと、休憩時におやつを購入したり、お弁当にサラダなど1品追加したりといった活用の仕方もできます。
こうした数々のメリットが評価され「チケットレストラン」は、食の福利厚生として日本一の実績を持つサービスとなっています。
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② 上の①からさらに非課税限度について詳細に解説している記事は以下:
食事補助は課税される?給与にしないための非課税限度額
https://edenred.jp/article/employee-benefits/6294/#chapter-15
(以下、一部抜粋)
食事補助は要件を満たせば非課税に
従業員の健康維持にも役立つ食事補助。福利厚生費として計上し従業員の所得税を非課税とするには、従業員が食事にかかった費用の半分以上を負担していること、1ヶ月あたりの金額が消費税別で3,500円以下であることを満たしていなければいけません。
福利厚生費としてのコストメリットを得るには、加えて勤務時間や消費税についても理解が必要です。食事補助を正しく運用するには「チケットレストラン」の導入も検討してみてはいかがでしょうか。国税庁の確認を受け運用しているサービスのため、要件を満たし正しく導入すれば指摘を受ける心配がありません。
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