当事務所用)法人で地代家賃を前払費用a/cで計上する、しないのメルクマールは?

問題の所在

法人成りの会社では、地代家賃a/cについて、以下の2つがある。

1)駐車場代など、そのまま普通預金からの振替金額を、地代家賃a/cで計上

2)節税目的もあり、家賃のうち法人業務見合いを地代家賃a/cで計上

・法人成りの会社では、上の1)又は2)があり(=1社で両方が存在することもある)、

・グループ会社では、1)のみ。

上の1)について

これについては、元々、大家さんに1ヶ月分を前払しているのだから、厳密には以下の仕訳が正しい:

<毎月>

(借)前払費用 100 (貸)普通預金 100

(借)地代家賃 100 (貸)前払費用 100

許容としては、期中発生主義的にして以下:

<毎月>

(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100

<決算>

(借)地代家賃 100 (貸)前払費用 100 ★期首分

(借)前払費用 100 (貸)前払費用 100 ★期末分

しかし、いわゆる短期前払費用処理が税務会計上は認められていることから、以下の仕訳のみでも許容と解する:

<毎月>

(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100

 

上の2)について

これについては、法人(会社)側の家賃「負担」であり、オーナーではなく社長との取引であり、貸し借り取引であり、キャッシュは動かさないのであるから、上の1)とは異なり、以下の仕訳だけでも成立しないか?これだと、調子に乗れば、契約書で条件を整えれば、未払費用だって計上できるが、、、

<毎月>

(借)地代家賃 100 (貸)役員借入金(経費立替) 100

 

結論

・いわゆる法人成りのお客様では、上の1)、2)とも、以下の仕訳のみでOKと解する:

上の1):<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100

上の2):<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)役員借入金(経費立替) 100

→ ただし、「短期前払費用処理である」と自覚しておく。でないと、お客様から質問されたときにドキマキしてしまうから (^^)

 

・他方で、グループ会社等では、上の1)のみについて、いわゆる会計を重視するので上の短期前払費用処理はせず、かつ損益が期首期末でブレないように、以下の仕訳をするのが無難。

上の1):

<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100、

<決算>(借)地代家賃 100 (貸)前払費用 100 ★期首分
++++(借)前払費用 100 (貸)前払費用 100 ★期末分

 

理由

特記事項なし

 

補足

勘定科目内訳明細書の地代家賃の明細上での「支払対象期間」の記載は、上の1)と2)では変わるか?

→ いや、短期前払費用処理の有無のちがいがあったとしても、3月決算の場合、いずれも、○/4/1~□/3/31 でOK!

こう書くと、「悩むのだったら、法人成りの会社でも

上の1):<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100、<決算>(借)地代家賃 100 (貸)前払費用 100 ★期首分 、(借)前払費用 100 (貸)前払費用 100 ★期末分

上の2):<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100

とすればいいじゃない?」と思われるかもしれない。

しかし、1社の中で上の1)と2)の両方があるケースで、すぐ上のように仕訳を変えるのはミスするもと。だから、ミスのリスク低減のため、1)と2)ともに前払費用a/cを使わない、再掲の、

上の1):<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)普通預金 100

上の2):<毎月>(借)地代家賃 100 (貸)役員借入金(経費立替) 100

でいく。