【2023/11/3訂正】年末調整の3つの申告書のうち、「扶養控除等申告書」だけは会社へ提出がマストな根拠は?

問題の所在

年末調整の3つの申告書のうち、扶養控除等申告書だけは、会社へ提出がマストのような気がする。

ググると、マストである旨の記事と、マストではないという旨の記事が半々、という感じ。

要は、「提出しないと所得税等で損をする可能性はあることは税理士なので分かっている。それを本人が甘受するのであれば、扶養控除等申告書の提出自体はマストではないのか否か?」を確認したい。

→ 要は、扶養控除等申告書を提出しないと罰則等があるのか否か?ということ。

 

結論

扶養控除等申告書の提出は、義務ではない。

【2023/11/3訂正】扶養控除等申告書の提出は、義務である。

 

 

理由

以下の国税庁の記事の中の、[備考]の内容が参考になる:

A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_01.htm#:~:text=%E3%81%93%E3%81%AE%E7%94%B3%E5%91%8A%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%82%8F%E3%81%AA%E3%81%84,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

(以下、一部抜粋。なお赤太字は筆者着色)

[備考]

国内において給与の支給を受ける居住者は、源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければなりません。この申告を行わない場合は、月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も行われないことになります。また、2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける場合には、そのいずれか一の給与の支払者に対してのみ提出することができます。
なお、適用される税額表が日額表の丙欄とされる人は、この申告書を提出する必要はありません。
また、非居住者である親族に係る扶養控除又は障害者控除の適用については、「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」をご覧ください。

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上の太赤字の記載は、税務署目線からマストの主旨であり、納税者の「義務」とまで踏み込んでいないと解する。

【2023/11/3訂正】

まず、わかりやすい解説記事は以下:

扶養控除(異動)申告書とは?出さないとどうなる?【令和3年度をわかりやすく】

https://www.shalf.jp/hr-get/2021/11/4378/

(以下、一部抜粋)

控除対象でなくても扶養控除申告書を提出する必要がある

給与所得者の中には、「所得税の控除項目に当てはまるものがないから提出がいらないのでは?」と考える人もいるでしょう。

しかし、控除対象でない場合でも、給与所得者は扶養控除申告書を会社に提出しなければなりません。

それは、扶養控除申告書の提出により、配偶者や親族、各種保険に関わる控除がないという点を会社が確認できるからです。

扶養控除申告書の根拠となる法律

扶養控除申告書は、所得税法と地方税法を基にして行われます。根拠となる法律は次の通りです。

・所得税法第194

・所得税法施行令第316条の2

・所得税法施行規則第73条、73条の2

・所得税基本通達194198共-3

・地方税法第45条の32、第317条の32

・地方税法施行規則第2条の32、第2条の33

先述の通り、扶養控除申告書は個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統一された様式になります。それは上記の地方税法に基づいたものです。

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次に、国税庁の解説は以下:

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata2019/pdf/05.pdf

(以下、一部抜粋。文中太字は引用者加筆)

Ⅲ 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与等の支払を受ける人は、毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書給与等の支払者(2 か所以上から給与等の支払を受けている人は主たる給与等の支払者)に提出しなければならないこととされています(所法 194 ①)
この申告書は、扶養親族や源泉控除対象配偶者などがいない人でも提出しなければならないこととされており、この申告書の提出のない人が支払を受ける給与等については、税額表の「乙」欄が適用されることになります(この申告書を提出した場合よりも高い税率が適用されます。)ので、この申告書を提出できる人(主たる給与等の支払者から給与等の支払を受ける人)についてはこれを提出するよう指導してください。
なお、給与等の支払を受ける人から受理したこの申告書は、税務署長から提出を求められるまでの間は、提出を受けた給与等の支払者が保存するものとされています(所規 76 の 3)

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なお、上の「(所法 194 ①)」=所得税法194条第1項、「(所規 76 の 3)=所得税法規則第76条の3、は以下:

(給与所得者の扶養控除等申告書)

第百九十四条 国内において給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者(その支払者が二以上ある場合には、主たる給与等の支払者)から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地(第十八条第二項(納税地の指定)の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地。以下この節において同じ。)の所轄税務署長に提出しなければならない。

一 当該給与等の支払者の氏名又は名称
二 その居住者が、特別障害者若しくはその他の障害者又は勤労学生に該当する場合にはその旨及びその該当する事実並びに寡婦又はひとり親に該当する場合にはその旨
三 同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者がある場合には、その旨、その数、その者の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)並びにその該当する事実
四 源泉控除対象配偶者の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)
五 控除対象扶養親族の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)並びに控除対象扶養親族のうちに特定扶養親族又は老人扶養親族がある場合には、その旨及びその該当する事実
六 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、源泉控除対象配偶者又は控除対象扶養親族のうち、主たる給与等の支払者から支払を受ける給与等について第百八十三条第一項(源泉徴収義務)の規定により徴収される所得税の額の計算の基礎としようとするものの氏名
七 第三号の同居特別障害者若しくはその他の特別障害者若しくは特別障害者以外の障害者又は第四号の源泉控除対象配偶者(前号に規定する場合に該当するときは、同号に規定する源泉控除対象配偶者に限る。)が非居住者である親族である場合にはその旨並びに第五号の控除対象扶養親族(前号に規定する場合に該当するときは、同号に規定する控除対象扶養親族に限る。)が非居住者である親族である場合にはその旨及び控除対象扶養親族に該当する事実
八 その他財務省令で定める事項

(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の保存)
第七十六条の三 法第百九十四条から第百九十六条まで(給与所得者の源泉徴収に関する申告書)に規定する給与等の支払者がその給与等の支払を受ける居住者からこれらの規定による申告書を受理した場合には、当該申告書(法第百九十八条第二項(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の提出時期等の特例)の規定の適用により当該給与等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。以下この条において「申告書等」という。)を、これらの規定に規定する税務署長が当該給与等の支払者に対しその提出を求めるまでの間、当該給与等の支払者が保存するものとする。ただし、当該申告書等に係るこれらの規定に規定する提出期限の属する年(法第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)の規定による申告書(法第百九十八条第二項の規定の適用により当該給与等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。)にあつては、当該申告書を法第百九十五条第一項に規定する従たる給与等の支払者が受理した日(法第百九十八条第二項の規定の適用がある場合には、当該申告書に記載すべき事項を当該従たる給与等の支払者が提供を受けた日)の属する年)の翌年一月十日の翌日から七年を経過する日後においては、この限りでない。

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補足

なお、他の2つは、以下の青太字部分のとおり、提出の「義務」はない:

給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告

https://zei-komon.com/wp-admin/post.php?post=18962&action=edit

(以下、一部抜粋)

[手続対象者]

年末調整において基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除を受けようとする給与所得者

給与所得者の保険料控除の申告

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_05.htm

(以下、一部抜粋)

[手続対象者]

年末調整において保険料控除を受けようとする給与所得者