自社の給与計算ルールが「当月分を翌月20日に支払う」の場合、4月1日に入社した人は、何月の支給給与から社会保険料を天引きされるの?
問題の所在
★以下では、給与支給日を毎月20日で統一する:
多くの会社では、4月1日入社であるが、社会保険料が天引きされる支給日は、(4/20ではなく)5/20 である。その理屈の備忘メモ。
結論
5/20。
理由
以下のリンク先が、ケース分けもあり、わかりやすい:
https://sumoviva.jp/article/1002008
(以下、一部抜粋かつ一部筆者省略)
社会保険料
社会保険料の発生するタイミング
社会保険料は、翌月末日が支払期限となります。たとえば、1月分の社会保険料の納付期限は2月末ということになります。翌月末日が休日の場合、納期限は後ろ倒しになりますが、話を単純にするために、以下ではすべて翌月末日納付ということにします。
社会保険料については、いつからいつまで社会保険料がかかるのかということを理解しましょう。重要なポイントは、「月末に加入者であれば、その月の社会保険料がかかる」ということです。
社会保険料の資格喪失日
社会保険の加入日は、入社日(途中で雇用形態の変更などで加入することとなった場合は、その日)ということで分かりやすいのですが、資格喪失日は少々分かりにくいです。
資格喪失日は基本的に退職日の翌日です。退職日当日もその会社の健康保険証が使えるようにしてあるということです。退職日にそのまま他社に雇用されるような場合(例えば、午前中に退職して午後から別会社で勤務を始めるような場合)には退職日に資格喪失となりますが、ほとんどは退職日の翌日となります。
例えば1月31日に退職する場合は、2月1日が資格喪失日となります。この場合、1月31日時点ではまだ加入者であるため、「月末に加入者であれば、その月の社会保険料がかかる」というルールに従って、1月分の保険料、つまり2月末に納付すべき保険料までかかるということになります。
一方1月30日に退職する場合は、1月31日が資格喪失日となります。この場合は、1月31日にはすでに資格喪失して加入者でなくなっているため、1月の社会保険料はかからず、12月分、つまり1月末に納付すべき社会保険料が最後となります。
では、入社した月に退職することになってしまった場合はどうでしょうか?このケースは多少ややこしいです。このケースだけ、ほかの会社で月末に加入者でない人については、保険料の徴収が必要となります。
例えば、1月10日に入社して、1月29日に退職した場合、資格喪失日は1月30日となります。この場合、他社に再就職してその会社で1月31日時点において加入している場合を除いて、例外的に社会保険料の天引きが必要となります。
そうはいっても、すぐに退職してしまった人がそのまま他社に再就職するかどうかということを確認することはなかなか難しいかもしれません。
本来徴収すべきでなかった社会保険料を天引きして、納付までしてしまった場合には、後日年金事務所から還付が行われます。(実際の現場では、同月入退社は、2,3日で来なくなるような人であることも多く、社会保険の加入手続きを取る間さえなく、同月入退社で頭を悩ませるようなことすらないことも多いかもしれませんが)。
同月入退社の例外はありますが、基本的には月末ルールと、社会保険の資格喪失日がいつになるのかという2つのポイントを押さえておけば、さまざまなケースに対応できます。
ちなみに、社会保険料には日割りという考え方がありません。末日に加入していれば、何日に資格取得しても、納付額は丸1か月分ということになることに注意しましょう。場合によっては、給与は日割りでも社会保険料は1か月分天引きということで、手取り額に大きく影響することもあります。そういった場合には、あらかじめ従業員に伝えておくなどして理解してもらうようにしておくとよいでしょう。
社会保険料の給与天引き
次に社会保険料の給与天引きについてです。給与天引きには2パターンの考え方があります。
パターン1 給与の支給日と納付日を合わせる方法
例えば、2月支給分の給与から2月末納付分、つまり1月分の社会保険料を天引きするという考え方です。この場合、何月分の給与かということは気にせず、単純に給与支払日と納付日を対応させます。
パターン2 給与の発生月と社会保険料を対応させる方法
例えば、15日締め当月25日払いの給与の場合、1月分の給与は、1月25日に支払います。一方2月末に1月分の社会保険料を納付します。この場合、1月分の給与から1月分の社会保険料を天引きして、2月末に納付という流れになります。同じ月内に給与の締日と支払日がある会社では、給与天引きする月と、社会保険料の納付月が1カ月ずれるということになります。
実務上は、ケース1で対応している会社が多いように思います。納付日と給与支払日の対応だけ考えればよいので、分かりやすいからでしょう。
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補足
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いわゆる、「社会保険の徴収時期」と呼ばれる論点であるが、
規則上は、入社ではなく、資格の喪失(=退社日との絡み)のルールがあり、その理解から、資格の取得(=給与天引きする日)を逆算するようなイメージ。
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なお、上の理由の中の(以下、一部抜粋)の中でも明記されているが、「1/10に入社して、1月29日に退社した場合」は例外として覚えておかないといけない。以下に再掲する:
では、入社した月に退職することになってしまった場合はどうでしょうか?このケースは多少ややこしいです。このケースだけ、ほかの会社で月末に加入者でない人については、保険料の徴収が必要となります。
例えば、1月10日に入社して、1月29日に退職した場合、資格喪失日は1月30日となります。この場合、他社に再就職してその会社で1月31日時点において加入している場合を除いて、例外的に社会保険料の天引きが必要となります。
そうはいっても、すぐに退職してしまった人がそのまま他社に再就職するかどうかということを確認することはなかなか難しいかもしれません。
本来徴収すべきでなかった社会保険料を天引きして、納付までしてしまった場合には、後日年金事務所から還付が行われます。(実際の現場では、同月入退社は、2,3日で来なくなるような人であることも多く、社会保険の加入手続きを取る間さえなく、同月入退社で頭を悩ませるようなことすらないことも多いかもしれませんが)。
同月入退社の例外はありますが、基本的には月末ルールと、社会保険の資格喪失日がいつになるのかという2つのポイントを押さえておけば、さまざまなケースに対応できます。
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