法人の仕訳の科目で、給与手当a/cと雑給a/cを区分する意味はあるの?

問題の所在

当事務所では、科目を細分化するが、それは必要なものについてであり、逆に無意味な細分化は検証して避けている。

この点に関し、引継ぎ案件などで、科目設定で、給与手当a/cと、雑給a/cを設けている場合がある。継続性に配慮し、基本的に継続している。使い分けは、「いわゆる正社員分を給与手当a/c、アルバイト、パートの方を雑給a/c」と分けるのであろう。

そのように雑給a/cを設けて生じ「うる」メリットとしては、以下に尽きる:

・いわゆる正社員の分と、アルバイト、パートの方の人件費を、ダイレクトに勘定残高で把握できる

他方、以下のデメリットが無視できない:

・計数管理上、正社員の人件費とアルバイト、パートの方の人件費とを、試算表や決算書で区分する意義が小さい、

・給与計算上、労災保険(注1)、源泉所得税、住民税源泉分が原則としてマストである点は共通であり、

(注1)控除しないが毎年7月に作成する労働保険申告書上は、人数と金額をカウントする

・給与計算上、社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険の有無には違いがあるが、分けたところでゼロはゼロ。

・労務管理上も、違いはない。

・勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書上、給与や人件費の集計上、給与手当a/c分だけカウントし、雑給a/cをカウント漏らすリスクがある。

結論

雑給a/cは、今後、新規の顧問先様では使用しないし、既存の顧問先様でも給与手当a/cに統合してゆく。

理由

すぐ下の記事では、雑給a/cを設けるリスク、デメリットを列挙してある:

「雑給」の扱い(雑給には危険がいっぱい!)

https://blog.goo.ne.jp/tukimane/e/8f1faad4050b70fad11ea41ff7287743

 

また、以下の記事では、雑給a/cを不使用にすることを指摘している:

給料手当

https://www.suztax.com/index.php?kaikei066

(一部抜粋)

また、アルバイトやパートなどに対して支払われる給与は、正社員との雇用形態の違いから、「雑給」と区分して表示することがあります。科目を分けるのが面倒であれば、給料手当勘定一本で処理されても何ら問題はありません。

補足

なお、

「学生アルバイトは雇用保険の対象外であるため。7月に作成する、労働保険申告書を作成する際には、給与から当該学生アルバイト分を分離しておく意味で、雑給a/cで分離しておく意味はあるかもしれない。」

とチラッと思ったが、弥生会計と弥生給与を連動させていないので、意味ない。弥生給与上で、区分設定すべき話。

→ そのための知識は、以下の記事によれば、以下の2点だそう:

 

・31日以上の雇用見込みがあること

・所定労働時間が週20時間以上であること

アルバイトの雇用保険加入条件・給付制度を徹底解説

https://roudou-pro.com/columns/122/

この点に関し、当会計事務所の具体例では、

・SK様(世田谷)のNさん → 雇用保険は該当しない。
(∵ そもそも80才で、半分遊びで来ている。週20時間はムリ。)

・TS様(川崎)のT君 → 雇用保険は該当しない。
(∵ 専門学校生で週末のみのバイトなため、週20時間はムリ)

→ イメージ的には、月給15万円前後にならないと、雇用保険はダメだよね。