今の顧問税理士を交代することを検討する場合に、最後、今の顧問税理士にそれを伝えるための具体的な段取りのイメージがあると考えやすいと思います。

そこで、以下では、私どもへ顧問税理士を交代して頂く際のポイントを、Q&Aにまとめました。

 

 税理士を交代するのは、いつが良いのでしょうか?

 3月決算の会社様であれば、5月まで(決算と最後の申告まで)やってもらうことが多いです。

つまり、税理士を交代するのは、3月決算の会社様であれば、6月から交代とするのが多いです。つまり5月まで従来の税理士に依頼することです。

「断ることを前提に、決算を任せて大丈夫かな?」とご相談される方もいらっしゃいますが、税理士の側の心理を考えると、基本的に心配ありません。

なぜなら、税理士が交代しますと、引継いだ後任の税理士が、期中の帳簿作成時や期末の決算時に、前任の税理士が作成した資料を分析します。そして前任税理士の処理が間違っていたら、そのことを税務署へ申請し、余分に払った税金を取り戻すことができます。いわゆる「更正の請求」というものです。

その結果、その前任の税理士は、税務署から見ると「この税理士は他の確定申告書も間違っているかもしれない」とマークされる可能性が大きくなりますが、通常、税理士はこれを大変嫌います。

ですので、むしろ「前任の税理士は、交代期の確定申告書はキッチリつくる」とさえ言えます。

また、後述のQの、「過去の資料で前任の税理士が保管しているものを回収する」点からも、「決算報酬と引き換えに、過去の資料も渡してもらう」のは有効です。

 従来の顧問税理士へ、税理士契約の終了をどう伝えたらよい?

 事務的に「契約終了メール」で伝えましょう。

文面は、以下のポイントを含めてください。それ以外は好きに書いてよいです:

① 契約を「終了せざるを得ない」理由

「顧問料を下げたい」「担当者に不満があり、改善されない」「親戚が税理士になった」など

② 報酬をいつまで支払うつもりか

「令和3年6月期 決算と申告まで」など。

口座振替になっている場合が多いので、後で返金依頼はしにくいので、最終月以降の口座振替を停止してもらいます。

③ 引継ぎ等は、改めてご連絡します旨

後述のQの、資料の回収があるため

 

なお、税理士契約の終了の旨のメールを受信した税理士の対応は、以下の2つに分かれます:

  1. 電話や訪問で、契約の終了を拒否し、継続を訴える税理士
  2. 淡々とメールベースで、契約の終了に了解した旨を回答する税理士

1.の場合はどうしましょう?

例えば、「報酬を〇〇円まで減額してもらえたら、他の点では満足なので引き続き契約したい」というのが本音であれば、上の「契約終了メール」では、「報酬を〇〇まで減額できないようでしたら契約を終了します」と書きます。

もしも、「その減額を受け入れる」という回答だとしたら? 

それがお客様にとって最善であれば、それでよく、その状況で、私共へ税理士チェンジをする必要はありません。

 過去の資料を全部、今の税理士が持っているのだが。。。

 必要な資料に絞って、最後に提出してもらいましょう。

経験上、前任の税理士の多くは、後任の税理士に、過去の資料等の提出を渋ることが少なくありません。

従来の顧問税理士が保管していてお客様へ引渡未了な資料があれば、

契約解除にあたり引き渡すよう、依頼します。(注)

(注)従来の顧問税理士から、決算終了後に、法人税等の確定申告書と添付資料のセットは毎年受領していても、それ以外のものは受領していない(=税理士の手元にある)ことが少なくありません。

 それらがなくても、当年度以降の確定申告書を作成することは可能ですが、参考資料としてある方が、従来の処理と整合性をとることができる意味でベターです。

この段階では、後任の税理士は決まっていますから、後任の税理士から指示された体裁で、以下の【依頼リスト】の表をコピペして、従来の顧問税理士へご依頼ください。

なお、受領の確実性を期すために、受領のタイミングは、決算報酬を支払う前のタイミングで受領する段取りをとりましょう。

 

【依頼リスト】

★は、該当ある場合

内容直近年分2年前分3年前分
e-tax 利用者識別番号と暗証番号共通共通共通
eLtax 利用者IDと暗証番号共通共通共通
法人の確定申告の控

(法人税等確定申告書、添付書類、税務権限代理証書、★税理士法第33条の1添付書類、★修正申告書、★更正の請求)

法定調書合計表 控
法人の、仕訳帳、総勘定元帳、最終試算表
★消費税等確定申告書 控(、★修正申告書、★更正の請求)
★所得税等確定申告書 控(、★修正申告書、★更正の請求)
★事業所得または不動産所得の、仕訳帳、総勘定元帳、最終試算表
法人/個人の、税務署への諸届(例 消費税簡易課税届出書) *設立以降、全て全て全て全て
年末調整資料、いわゆる給与台帳・賞与台帳
源泉所得税 納付済分の納付書
源泉所得税 未使用の納付書
従業員の住民税の通知書
年金事務所とのやり取りの資料
労働保険申告書 控